MMANAによる 八木アンテナの設計手法(ヘアピンマッチ)

 ここでは、アンテナシミュレーションソフト「MMANA」を使用した八木アンテナの設計について説明します。
GainやF/Bの最適化はMMANAおまかせでOKですが、インピーダンス整合に構造的にも電気的にも優れたCD社風
ヘアピンマッチを導入した場合の(詳細理論は後回し)エレメントの最適化や、実際の設定例について実例をもとに解説したいと思います。
  *MMANAへのデータ入力や、個々機能の使い方について、ここでは触れません。

ちょっとだけ 理論?
給電点インピーダンスは、エレメントの長さ、間隔で大きく変化します。
通常50(Ω)の同軸ケーブルで給電するので給電点インピーダンスは 50±j0(Ω) が理想です。
シミュレーターでは給電点素子をダイポールアンテナと見立て、基部インピーダンスを計算しています。

ヘアピンで整合させるためには、給電点インピーダンスを20〜40Ω−j20〜40(Ω)程度(−jは若干の容量性)とし、
ヘアピン(並列にコイルを接続するのと同じ)を接続し、jパート(リアクタンス分)をうち消すのと同時に、Rパート(レジスタンス分)
を50(Ω)に近づけるのです。
このインピーダンスの動き方はスミスチャート(イミタンスチャート)とかを頭に浮かべながら考えると、納得できると思います。・・・が。
私自身、時々スミスチャートとイミタンスチャートが頭の中でごちゃ混ぜになり、インピーダンスの動きが?Ю&ζとなります(Hi)。
このヘアピンは平行フィーダーと考えることができます。
平行フィーダーはその片端をショートした場合、長さがλ/4以下ではコイルとして動作します。
CD社のヘアピンはアルミの棒をUに曲げて、片端ショートの平行フィーダーを形成しています(たぶん・・)。
28MHzでは1mくらいのが使われています。私のCL10DXXのがそれくらいでした。
それでは、MMANAの設定をします。

MMANAヘアピンマッチングの設定。
最適化>をクリックし、反射器、導波器、輻射器横幅を選ぶ

評価の割合
 左の程度にセット

詳細設定
目標
ヘアピンへ”
計算環境
R=
35  くらい入力
 (ヘアピンの長さに関係してくる
   まずはこれくらいで・・・・)

ヘアピンマッチ

  (勝手に jXが−**となる)
整合目標のZに”50”を入力
OK
前画面でjxに−22程度が入ります。
OK
実行
選択した リフレクタ、ラジエータ、ディレクタの長さが変わり
ヘアピンマッチングのための
基部インピーダンスに最適化されます。
このとき、評価の割合にGainとF/Bが50%残してあるので、指向特性にはあまり影響が出ないと思います。
閉じる
メイン画面
表示><オプション
スタブマッチ>画面を表示。
フィーダーZo=
300
CD社のヘアピンの特性インピーダンスはだいたい、300Ω

アルミ棒太さ d=4mm/間隔 D=40mm
Zo=276log2D/d=300(Ω)

Zi=
50

TUNE

ると、解1.2に 
L1= 0に近くなっているはず。
L2s=ヘアピンの長さです
Zi=50±j0 に近くなるはず。
ヘアピンマッチを行う場合のエレメント寸法の最適化と、ヘアピンの長さの求め方の実例を示しました。
今回は、既設で使っていたヘアピンが50cm位だったので、それが使えるよう、給電点インピーダンスを
変えながらL2sが50cmに近くなる様何回も計算しました。
Rを35Ω程度にセットすれば、だいたいこの辺の長さになると思います。


ヘアピンマッチを想定したインピーダンスの設定の実際について、 MMANAの作者であるJE3HHT 森 誠OMよりアドバイスをいただきました。